大手メーカー勤務のNさんは、「ただの管理職」である自分に不安を抱いていた。大手企業で各部署をひと通り回ったが、際だった職能をもたないゼネラリストほど、社内と社外で評価が逆転するキャリアはないだろう。仮に企業内部にいる間は、全ての部門に人脈を持つ役員候補と見なされる人であったとしても、一歩会社の外に出ると売りになる実務経験が不足していれば、転職するのが難しくなるケースは、実際あるのである。Nさんは大手機械メーカーA社で主流のキャリアを歩んできた。
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二十代前半では営業職から総務、そして三十歳前に海外支部に配属され、昇進も同期トップで果たした。A社内ではエリートコースと言われるポジションを次々とこなしてきたが、時代は平成不況に。大手企業までもが、倒産の危機にさらされる状況になり、自分のキャリアに疑問を持つようになる。「A社ではエリートかもしれないが、会社の外に出たら『ただの管理職』なのではないか?」Nさんの疑問は日に日に大きくなっていった。仮にこのままA社にずっといるのであれば、いわゆる管理職、ゼネラリスト的な能力が求められ続けるだろう。そしてA社のエリートコースに身を委ねていれば、転職の難しいキャリアになっていたかもしれない。しかしNさんはA社にいながら、スペシャリスト的なキャリアを積むことで将来に備えることが出来た。