就業規則による労働条件の変更に、合理性があると考えられるときには、労働者と使用者との間で合意があったと推定されて、労働者はその不利益な労働条件のもとで働く義務を負担させられる。そして、過半数組合が就業規則による不利益変更に合意したときは、労働者個人と使用者との間でも不利益変更に合意があったと推定されてしまい、それが不合理であることを労働者側で反証しなければならないというのである。しかし、どうして過半数を占める多数組合との合意によって個々の労働者の同意を推定できるというのだろうか。
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多数者が合意したことは合理的だという論理はいささか乱暴である。不合理だということを個人である労働者が反証する負担は重い。それに、企業で働く人は多様で、労働条件不利益変更による生活への影響は一様ではなく、労働組合の意思決定過程における影響力も社員によって強弱がある。労働組合の意思決定に及ぼす女性の影響力が弱く、男性中心の労働組合が、家族的責任と両立しない労働条件や男女間格差を拡大させる労働条件変更に合意することもありうる。ここで問題になっているのは、仕事と生活の両立や均等待遇といった、多数決原理で否定することはできないはずの価値である。