韓国の雇用保護規制の厳しさ

2012.01.07

お隣の韓国の若年雇用情勢について見ておきたい。というのは、韓国と日本の雇用保護規制は、酷似した面があるからである。さらに、日本で問題となっている非正規雇用の増加は、韓国のほうが日本よりも先鋭的な形で表れているからだ。九七年の通貨危機の後、韓国はかなり抜本的な構造改革を行ったために、停滞する日本を尻目に九〇年代末から急速に経済が回復に転じたと新聞などで報じられていた。私も誤解していた面がある。構造改革の一環として、労働市場のフレキシビリティをもたらす改革がなされたために、これに好感を抱いた海外からの直接投資が増え、それによって経済回復が促進されたのだ、という印象を持って見ていたのである。

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しかし、事実はどうもそうではなかったらしい。最近出版された『韓国の構造改革』(高安雄一著、NTT出版、〇五年)の中で、その点について詳しく述べられている。韓国の雇用保護規制の実態は、日本のそれと酷似している。九八年に勤労基準法(日本の労働基準法に相当)が改正されるまで、裁判所の判例によって、解雇基準が運用されていた点も同じである。解雇の基準として、四つの基準が法律に明記されることになった。(1)緊迫した経営上の必要性、(2)解雇回避の努力、(3)合理的な対象者選定、(4)解雇協議手続き、である。この法律改正によって、解雇条件が法律に明文化されることになった。どうも、この点が、それまで韓国では不可能に近かった従業員の解雇が可能になったと誤解されて報道されたようである。しかし、法律改正によって解雇規制が緩められたわけではなく、解雇要件の明文化以前と以後で、変化はないというのが正しい認識である。韓国は、日本とは異なり労働組合の力が強いことで有名である。解雇基準のうちの「解雇協議手続き」は、解雇する前に、必ず労働組合と協議しなければならないことを意味する。強力な労組の存在を考えた場合、この基準を当てはめると、正規雇用の解雇は事実上不可能であるというのが一般的な見方だ。